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苗を植える:移植・定植(地植)
1. 苗を植える前に
■ポット苗の管理:
・苗の到着後はたっぷりと水を与えるのが基本ですが、寒い時期の夕方頃に苗が到着した場合は少なめに与え、翌日暖かくなってからたっぷりあげましょう。水やりは、
寒い時期は午前中の暖かくなった時間帯から、暑い時期は陽が落ちてからにしましょう。
・温室で育てられた苗の場合は、しばらく直射日光に慣らしてから地植えしましょう。ポットのまま管理する場合は、コンクリートの上に直置きしたりせず、根鉢を冷やさない/直接熱に当てない工夫をしましょう。地元で手に入れた苗木ならとくに問題はありませんが、遠方から取り寄せた苗木の場合、育てていく環境に慣らすのも大事なことです。
・植付け前には、たっぷり水をやっておき、植付け場所の近くに置いて土壌との温度差がなくなるようにしておきます。
■定植の適期:
根鉢を崩さずに植え付ける場合は、極端に寒い/暑い時期を外せば、いつでも大丈夫ですが、最適期は新芽が展開する前の3月〜4月頃です。
3月〜4月に植え付ける場合、根鉢をゆるく崩して古い根や痛んだ根を切り取り、草木灰などで殺菌し、根先が外に向くように広げて植え付けます。
3月〜4月以外の時期に植え付ける場合は、根鉢を崩さず、ポットから出した状態のまま植え付けます。
■移植の適期:
移植の適期は新芽が展開する前、霜が降りなくなった3月頃から4月頃です。オリーブの木を掘り起す時点でどうしても根を切ってしまいますから、植え替え後には枝葉を剪定しましょう。植物は地下部の根と地上部の枝葉で吸収/蒸散のバランスを取っていますので、根だけ少なくなると弱る原因に繋がります。
■株間:
オリヴェッタ倶楽部の苗木の故郷トスカーナのゴフレート農場によると、収穫目的の栽培に理想的な株間は6m。せめて4mの株間は欲しいとのことです。オリーブがいかに巨大に育つかを想像させる数字ですが、個人の庭であってもできるだけ広く株間を取ることを心がけ、できるだけ全ての枝に陽射しがあたる剪定を心がけて育てましょう。
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2. 植える場所を決め、土を掘る
日当り・風通しがよく、水はけの良い場所を選び、根鉢の3〜5倍の範囲を深さ50cmぐらいまで掘り上げます。
オリーブが根を伸ばしやすいよう、しっかり耕します。土がフカフカになるほどオリーブは勢い良く、大きく育ちます。
栄養豊富な土にするため、土壌改良材(腐葉土や堆肥、石灰肥料*など)を多めに入れてから掘り上げた土を半分ほど戻し、よく混ぜます。畑の跡地など肥料分が残っている土地では肥料分は少なめに、荒れ地を切り拓いた土地などでは肥料を多めに鋤き込んでから植え付けます。
水はけが悪い場合は、パーミキュライト、パーライト、日向土等の水はけに優れた用土を鋤き込みましょう。
* 苦土石灰を混ぜ込んだ場合は、土を寝かせる必要があります。残った土を戻して軽くかき混ぜ、たっぷりと水をかけます。この状態で10日ほど寝かせてから次の行程へ進みます。
* すぐに植えたい場合は、苦土石灰の代用品として牡蠣殻有機石灰等を利用しましょう。
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3. 苗を置く
苗を植え付ける高さを決め、その高さになるまで土を中央に盛ります。
苗をポットから取り出し、根鉢の表面を軽くほぐして盛土の上に置きます。苗によっては斜め方向に伸びているものもありますが、ポットに植えられた状態のまま水平に植え付けます(枝は支柱等で上方向に伸びるよう矯正します)。
オリヴェッタ倶楽部の接ぎ木苗の場合は、接ぎ部分がギリギリ見える深さで植え付けます。また、くの字に曲がった接ぎ部分の凸部を南に向けて植え付けます。深植えしないよう注意しましょう。
時間が経つと土が締まって沈みますので、できるだけ高植え(地上15〜30cmに植える)を心がけましょう。土壌改良材を加えることで土の嵩は増していますが、高植えに足りない場合はさらに土や改良材などを足します。高植えにすることで水はけが良くなり、根腐れを防止します。
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4. たっぷりと水をかける
オリーブは浅根性のため、風で倒れやすいという弱点があります、なので、根のまわりに土を入れたら、苗がぐらつかないように軽く叩いて固めます。そして、たっぷりと水をかけます。
水が引いてしまうのを待って、さらに土を入れて軽く固め、さらに水をかけます。オリーブは水が大好きです。植付け時に「こんなに?」と思うほど水やりをすることで、その後の管理は楽になります。
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5. 土手を作って水保ちよく
苗木の接ぎ部ギリギリの高さまで植え付けたら(接ぎ木苗の場合)、周囲に土手のように土を盛り上げ、土が壊れないように土手を手で固めていきます。
この土手が雨水を確保してくれます。広いスペースや水やりが不便な場所に植え付ける場合、土手を高くしてより多くの水を確保できるようにします。
支柱を立てて苗をしっかり固定したら、またもやたっぷり水をあげて植付け完了です。お疲れさまでした!
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ヒント1:掘り上げたばかりの苗を植える場合(移植)
土から掘り上げたばかりの苗を植えた場合は、株を地面から50〜80cmのところで切ります。
掘り上げた時に根が切れ、地下で水分などを吸い上げる力が減っていますから、地上部の活動を抑えることで成長のバランスを取ります。
ほとんど根を損傷していない状態でしたら、切らずに育てても大丈夫です。
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ヒント2:活着するまでのメンテナンス
・殺菌:幹を切り詰めたり、強剪定をした場合、できれば切り口に接ぎ蝋(つぎろう)を塗っておきましょう。乾燥、湿害、病害の防止になります。接ぎ蝋は園芸資材店で購入できます。
※殺菌だけなら草木灰で足りますが、切り口が大きい場合は接ぎ蝋が効果的です。
・水やり:一週間も雨が降らないなど乾燥が続く時は、たっぷりの水やりを心がけましょう。表面から10cm辺りの土がカラカラに乾いていたら水やりが必要です。2年程は油断しないようにしましょう。
・剪定:活着するまでは剪定をする必要はありませんが、接木の台木(接ぎ目の下)や土の中から枝が伸びてきた場合、これは台木のオリーブの枝ですので、みつけたら切り落としましょう。
・肥料:春と秋に有機堆肥と油かすを与え、年に一度、茂った葉先の下まで石灰を薄く撒布します。
・酢農薬:葉がしおれたり、葉っぱがどんどん落ちるような場合には、陽が落ちて土壌が冷えてから水をあげましょう。それでもクタッとしているようであれば、酢農薬*が効果的です。酢農薬は、地植え直後の活力剤にも最適です。
* 酢農薬の詳細は編集長の個人サイトで紹介していますので、ご参考に。
http://asterisk-web.com/ritz/garden/
絶対無能約宣言 > 肥料兼自然農薬 > なんだかスゴイ!酢の力
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オリーブのボタニカルなウンチク
たっぷりの実を収穫するためには
美しい葉や樹形を楽しむためには
苗を選ぶ:実生・挿し木・接ぎ木
苗を植える:移植・定植(地植)
苗を植える:植替え・定植(鉢植)
つづきは準備中です。お楽しみに。
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