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「一人餌」とは自分で餌をみつけて、自分で食べることです 親に人の怖さを教えられる前の野生のヒナが、平気で人に「エサちょーだい!」と口を開けることがあります。野鳥のヒナたちはもともとはかなりの甘えん坊なのでしょう。親鳥や世話役の若鳥たちもかなりきびしくしつけるようですが、なかなかてこずっているようです(^^; 立ってちょこちょこ動き回るようになったら、里親さんもいつまでも過保護ではいられません。野生の世界では、口を開けて待っていても誰もエサを入れてはくれません。自分でみつけて食べることができなければ、待っているのは・・・死です。 ですから、人を呼べばエサをもらえると思っているヒナに、人を呼んでも満腹にならないということを教えましょう。そのためになにより大事なことは、過保護に育てないことです!「過保護=ヒナの危険」ということを、くれぐれも忘れないようにしましょう。 ただし、食べなれないうちは、がんばって食べていても胃の中にまでは入っていないことの方が多いので、ちゃんと食べれるようになるまでは手からもエサをあたえつづけます。糞をしっかり観察して、ちゃんと食べているかどうかチェックしましょう。糞(フン)については次のページ育てる上での注意点でお読みください。
置き場所も毎日変えましょう。見えにくい場所に置いたり、プランターを部屋に持ち込んで植物にかくれる土の上にばらまいたり、ときにはこまかい砂利などのすき間にばらまいて、上手にとる練習もしてみましょう。最近は粟穂(あわほ)を売っているところもあり、ネットの通信販売でも手に入りますから、こういったものも利用しましょう。 クチバシをきたえるため、いろんな味を教えるためにも種類の豊富な雑穀を用意しましょう。ただし、殻つきの餌は、たくさんあるように見えても、じつは殻ばかりが残っているということがあり、これで飢え死にさせてしまうという事故もあります。毎日殻を吹き飛ばして、つねに新しい餌を足すことも大事です。 こうしてばらまいたエサに興味を示さない場合は、すり餌など日頃食べているエサに殻のついていないむき餌や粟玉をのせて食べさせ、まずは食べ物であることを教えましょう。むき餌や粟玉をつつくようになったら、殻のついた雑穀を足していきます。これらの餌については使う上で注意が必要ですから、まだ読んでいない方は餌の使い方と注意点をかならずお読みください。
また、生きたアオムシなどは止まり木にたたきつけてから食べるので、中身が飛びちることもよくありますのでご用心!でも、これが彼らの食事法です(^^; 親鳥に教えてもらえないヒナたちにとっては 生きていく上でなにより大事なことです。室内ではいろいろ問題もありるでしょうが、短期間のことですから頑張ってあげましょう!
自分で捕って食べてないような場合は まずは生きた虫をピンセットなどではさみ、ひらひらさせているものに食いつかせる練習から始めましょう。私は、まだ飛べない頃のスズメを指に乗せて家中の窓をめぐり、網戸に止まったちいさな羽虫を食べさせていました。おやつのついでにお掃除してもらうわけですが、飛びはじめるとすぐに自分でエサを捕るようになりました。 目の細かいアミなどでおおったカゴの中に生きた虫を放して、網に止まったところを外側から食べさせるなど、いろいろと工夫してみましょう。これらの訓練は、飛びながら昆虫を捕食するツバメにはとくに必要な訓練です。
このページのトップへもどる 上手に飛ぶレッスン 上手に飛べるようになったら、着地しようとしたときに軽く追い立てるなどして、旋回しながら部屋を何周も飛べるように練習させましょう。また、日頃こわがるものなど使って、急旋回の練習もさせましょう。こわがらせるのは可哀相なものですが、心を鬼にして頑張ってください。ボーッとしているようでは野生を生き抜いてはいけません。また、わがもの顔で堂々としていると頼もしいものですが、これも野生では危険ですね。いつもビクビクしているくらいが野鳥としては望ましい状態です。
次の項目“水浴びのレッスン”を参考にヒナが溺(おぼ)れない程度に浅く入れた水場を用意し、一人餌の訓練と同じように、毎日場所を変えて見つけさせるようにしましょう。放し飼いにした方がすぐに覚えます。放し飼いができない環境では、できれば鳥かごに水入れを置くようなことはせず、水を飲ませるためにちょこちょこカゴから出すくらいで訓練しましょう。
ちょっとわかりにくいでしょうが、写真の右手前のキラキラした部分が“ピオの水浴び場”です。透明で浅い食品トレイの上に大きめのサランラップをひろげてあちこちしわを寄せて、全体に水をふりかけて床の上に置いておきます。ちびっ子が興味をもって近よってくるまでしらんぷりしていると、好奇心からかならず近よってきます。ラップは水たまりのように見えるそうです。 大事なのは、ここで絶対に手を出さず、ラップの上で水をついばんだり、すべるように遊びはじめるまで気長にまつことです。気がそれてよそに行っても、しらんぷりしていましょう。水が乾いたら、またふりかけておきます。水のついたラップになれてきたら、水の量を少しづつ、少しづつふやしていきます。じきに水浴びをはじめます。コツは水の量を少しづつふやすことと、自分で水浴びをはじめるまでは決して強制をしないことです。 それから、冷たい水ではなく常温の水の方が安全で、効果的でもあります。鳥の尾羽の付け根の辺りにはちいさなイボのような脂腺があり、鳥たちはこの脂腺から出る脂をクチバシで全身の羽毛に塗りつけるために羽づくろいをします。羽に行きわたったこの脂のおかげで羽毛が水をはじき、雨から身体を守って適切な体温を維持してくれます。あたたかいお湯などで水浴びをさせてしまうとこの脂が落ちてしまい、体温の維持が出来なくなります。また濡れた羽毛に人の手がふれると、さらに脂分をとってしまうことになります。ですから、お湯で水浴びをさせない、水浴びの後にはさわらないことがとても大事です。とくに放野直前に水浴びをさせる場合、決して手でさわらないようにしましょう。 ちゃんと水浴びができるようになったら、自分で勝手にやりはじめます。暑い日には何度も浴びたりしますので、水はいつも清潔なものと取りかえておき、日が落ちるころからは体が冷えるので浴びさせないようにします。置き場所は毎日変えましょう。
成鳥になっても家で育てる必要がある場合、盛大に砂を飛ばすので家の中ではこれも大変ですが、これもまた体につくちいさな虫や病気を予防したり、遊んでストレスを発散させる大事な行動です。長く育てる必要のある里親さんはなんとか工夫をして、頑張ってください。
我が家には猫がいますが、昔インコと暮らした鳥好きの猫。すずめたちもまるでこわがらず、だんだん近よっていくようになりました(ねらいは猫のエサ)。これはマズイ……とはじめたのが「恐怖のレッスン」。すずめたちが猫に近よりそうなとき、遊びに夢中になっているとき、のんびりくつろいでいるとき、たまに猫をかかえてすずめっ子たちを追いまわしました。何度もくり返して、これは効果てきめんでした。ただし、猫や動物におそわれて保護された子たちのなかには、恐怖ですくんで動けなくなる子もいます。この場合は恐怖心をあおるばかりで逆効果になります。 もちろん、猫がいない家ではできませんが、どこかから借りてきてでも……と思われる方は、できるだけおとなしい猫で、通ってくることがないように目かくしでもして連れてくるくらい、くれぐれも用心をしてください。 このページの目次に戻る |