レスキュー&育て方 育てる上での注意点
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親鳥との接触 動けないほど弱っていない場合は、天井付きのダンボールに親鳥の出入り口をつけてあげるなど、保温しながら親鳥と接触できる工夫が必要です。カラスや猫の危険がある場所では高いところにつるすなど、さらに工夫が必要です。正直なところ、なれない人の手で育てた結果のエサの不足や栄養障害もカラスや猫と同じくらい致命的(ちめいてき)なのです。もちろん、様子を見ながらエサの補給もしましすし、夜や雨などで親がエサを運んでこない時は屋内でしっかりエサを与えます。つまり、親鳥と共同でヒナを育てることになります。 翼をバタバタさせるようになったら数日のうちに飛び始めますので、親鳥と一緒に飛んでいける工夫をしてあげましょう。それぞれの環境に応じて、より良い方法をみつけていきたいと思っていますので、これについては掲示板でみんなで智恵を出し合いましょう!
だから、里親さんも決してあきらめないでください。たとえ病院などでリリースは無理だと言われたとしても、里親さんががんばって希望をすてずにいれば、それはヒナたちにも勇気となって伝わるものです。「うまく育ったら放野」・・・と考えるのではなく、「絶対に仲間のところへ返してやるんだ!」とはじめから放野をめざして育ててあげましょう!
鳥はクチバシの付け根にちいさな鼻の穴がありますから、エサやリになれないうちは鼻の穴がエサで塞がらないように注意しましょう。エサを与えたあとにはかならず、ぬるま湯で湿らせたガーゼややわらかい紙で身体にくっついたエサをふき取ってあげましょう。とくに羽根がはえそろっていないヒナの場合は汚れも病気の元になります。また、ヒナのクチバシはとてもやわらかいので、こびり着いたエサをとる時に傷つけることがあります。エサが固まってしまった場合には、お湯に浸したやわらい布でしっかりふやかして、やわらかくなってから取ってあげましょう。このときにも、鼻の穴から水が入らないように注意しましょうね。 また、まちがってのみ込んだゴミなどが「そのう」の中で消化されずに残って、腐ったりカビが生えたりして“そ嚢炎”を起こすこともあります。自分で餌をつついて食べるようになったら、注意しましょう。
とくに、人と一緒に夜更かしさせるのは厳禁です。また、夜に真っ暗にするのも考えものです。田舎では月明かりや星明かりの夜はいがいと明るいもので、闇夜ばかりではありません。都会ではネオンや照明の灯で結構明るいものです。リリースをするのは保護した場所の近くになりますから、その辺りの夜の感じをつかんでおくと良いですね。
とは言っても、野生の世界では大人の羽に生え変わるまでは自分で体温を調節することで寒さをしのぎます。これも野生で生きていくための大切な訓練のひとつです。つまり、保温をしてあげる必要もあるけれど、あまり甘やかし過ぎるのも良くない・・・と、これがペットの鳥さんたちとちがってむずかしいところです。野生に返せる元気があるのでしたら、できるだけ外の自然と同じ環境を作ってあげること、これが一番大事ではないかと思います。 ですから、室内の冷暖房は野鳥を育てる環境としては考えものです。とくに冷房はなにより鳥の健康によくありません。人の体感温度から言えば夏はもちろん暑いですが、いろんな理由で人に保護されているヒナたちは、8月の猛暑の中でも人の手のひらの中にもぐり込んだり、肩や首すじのあたりにぴったりくっ付いてお昼寝したりするものです。幼いうちに低体温の状態が長くつづくと免疫(めんえき)がうまくはたらかず、ウイルスや病原菌に弱い病弱な体に育ちますから、暑い時期はできるだけ涼しい場所で過ごさせたり、自然の風を通したり、暑い時には水浴びを楽しませてあげましょう。 冬場にも保護の必要があるということはなんらかの問題をかかえていることになりますから、保温には気を付けましょう。ですが、将来は野生に戻すのであれば、やはり過保護は良くないですね。乾燥にも充分注意して、ほどほどの室温を保ちましょう。そして、春や秋は人にとっては過ごしやすい季節ですから、ついつい油断してしまう季節でもあります。でも、鳥の体温は40度以上ありますから、人がちょうど良いと思っていても、鳥にとっては寒い場合もあります。人の体感温度を基準にするのも危険なことです。 保護している間は温度や湿度もしっかりチェックしましょう。室温は25度より下がることがないよう気をつけ、室内が乾燥しすぎないように注意しましょう。また、長く育てる必要がある場合、換羽(かんう)という季節ごとの羽に生え変わる時期があります。羽が抜け始めると体温が逃げやすくなりますから、室内の温度にも気をつけてあげましょう。体をふくらませてじっとしている時は寒がっている状態で、翼を広げぎみにして口を開けているような時は暑がっている状態ですから、気をつけてあげましょう。くわしくは左メニュー赤枠内すぐに救急処置をしよう!のコーナーの保温の部分をお読みくださいね。
野生の世界では、よちよち立って歩きはじめるようになったヒナが巣穴の入り口から外の世界をのぞいていて、よく親鳥に叱られて巣の奥にもどされる光景を目にします。この頃から、ヒナたちは少しづつ外の世界を知りはじめ、やがては広大な空を羽ばたくようになるのです。あなたが保護したヒナにも、少しでも早く部屋の環境になれさせ、窓の外の広い世界に慣れさせておくことが大事です。 また、自然の中で暮らす野鳥たちにとっては日光浴も大事な日課です。陽射しの中で羽をひろげて、身づくろいをしながら身体につく寄生虫やダニを予防するのです。また、鳥は足に陽射しを浴びることで、日光からの力を借りてビタミンD3を作るそうです。 でも、
隠れて過ごすのがヒナの頃の習性ですから、いきなり広い場所に出されるのでは怯えますから、部屋の隅の日当たり良い場所や、安全な窓辺などで徐々に陽射しや外の世界にならしてあげましょう。ただし、日射病にはくれぐれもご用心です。暑いとき、興奮しているときには大きく口を開けたままになりますから、しっかり観察しながらならしていきましょう。
野鳥に限らず、インコやオームなどのコンパニオンバードでもお散歩は必要なのだそうです。外の世界の有り様をながめたり、外の世界のさまざまな物音をじかに聞くことが、自己中心的な性格にならず、自分の感情が開放されることにつながるそうです。とくに仲間たちの姿を見たり、鳴き声を聞いたりさせることは将来の放野のためにとても重要です。 飛び出さないように安全なゆったりしたカゴなどに入れて、天敵たちから襲われたりすることがないように注意しながら、できるだけ仲間が多い場所を歩いてあげましょう。将来放すのにふさわしい場所や保護した場所が近くにあるのでしたら、このお散歩は放野の下準備にもなります。 室内ではできるだけ仲間の声を聞かせるようにしましょう。以下に鳥の鳴き声を聴けるサイトがありますので、できるだけいろんな鳴き声を聞かせてあげましょう。 関連リンク:鳥の鳴き声を聴けるサイト:森のコンサート このページのトップへもどるこれもとても大事なことです。野鳥を預かって育てることになった方は、是非病院で糞検査をしていただくようおすすめします。糞から健康診断ができますし、もしかしたら気づかずにいる病気のチェックもできます。糞(フン)がおかしい……と思ったら、すぐに巣箱ごと動物病院へつれていきましょう。 糞(フン)は健康のバロメーター、生きものはみんな同じですね。すずめの親鳥はヒナのフンをクチバシでくわえて巣の外に運び出します。そうやって運べるように、健康なヒナのフンはうすい皮におおわれて生牡蠣(ナマガキ)のようにプリプリしています。ハシなどでつまむとあとを残さずきれいに持ち上がります。フンをした直後なのに、ハシでぷるんと持ち上げられないくらいフンがゆるかったり、黄色っぽくべタッとしている場合は要注意です。消化不良、細菌感染、寄生虫といろいろな病気が考えられます。すぐに動物病院へつれていきましょう。 糞をしてから時間がたっている場合には、水気がぬけてしょぼくれたフンになっています。あわてず、新鮮な糞を観察してみましょう。ヒナは身体がちいさいほど大きなフンを出します。成鳥になるにつれて、フンは小さくなっていきます。糞に変化が見られるのはちょこちょこ飛びはじめる頃からで、この頃には一時的に食欲が落ち、体重が減ります。これは飛びやすい身体に変わる時期に起きることで、この頃から身体がほっそりとなり、糞もだんだん小さくなってきます。ただし、糞の回数はふえてきます。 また、鳥のフンは白い部分や黒っぽい部分、緑色の部分など食べたものの色が残っています。白色はほぼ水分、黒色は虫などの生きたエサ、緑色は野菜や種子などです。フンが白い色だけで水っぽい場合は、エサをほとんど食べていず、おシッコだけが出ているような状態です。野生のヒナでしたら、ほとんどエサを食べていない状態ですし、保護して育てているヒナでしたら、口に入れているけれども、じつはちゃんと食べていないといった状態でしょう。すぐにたっぷりと食べさせてあげましょう。 糞を放っておくと、ヒナが巣箱のなかで動きまわるときにあっちこっち体にくっつけてしまいます。とくに地肌が見えているようなヒナの場合、これはかぶれの原因になって、病気の元になります。エサを与えると、次に巣箱をのぞいたときにはかならず大きなフンをころがしているので、ヒナの健康のためにもフンはこまめに取りのぞきましょう。 また、いつもお尻のあたりをチェックして、よごれているようならぬるま湯で湿らせたやわらかい布やガーゼでふいてあげます。こびりついたフンが固まって、糞詰まりを起こす危険もあります。食べてもなかなかフンをしないときは、糞詰まりを起こしていることもあります。ぬるま湯で湿らせたやわらかい布やガーゼでお尻の穴の辺りをやさしくマッサージしてあげましょう。 このページのトップへもどる野鳥は天敵から身を守るため、死の直前まで決して弱みをみせません。ですから、鳥の死はかなしいほどに突然です。様子が変だな……と気付いた時には手遅れというケースも少なくありません。日頃からおかしいと思ったら、すぐに病院へ連れていけるように、かかりつけの動物病院をみつけておきましょう。ボランティアで野生動物をみてくださる先生たちは親切な方が多いので、ちょこちょこみてもらっていれば、自然の中に帰すかどうかの判断をするときにも心強い見方になってくれます。病院に連れていく前にも読んでおきましょう。
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野生にもどすためには? |