気まぐれな風に運ばれて

ハーブの香りが部屋を漂います

東の窓からはラベンダー

南の窓からはミントとタイム

春にはバジルが微笑みを誘い

秋にはフェンネルが食欲をそそる

それがハーブのある暮らしです


栽培コツのコツ

ハーブはもともと野山に自生していた野草です。日本のシソ、ミツバ、ゴマと同じく、様々な効能や香りの良さなどからだんだん生活に取り入れられるようになりました。丈夫で逞しい野生の出身ですから、ちょっとした環境作りをしてやれば、結構すくすくと育つものです。
私たちは自分たちの都合で植物を生来とは違う環境で育てたり、造られた庭や小さな鉢という狭苦しい場所に閉じ込めてしまうわけですから、せめて、いくつかの手間は心がけてあげましょう。環境作りというと難しいことのようにも聞こえますが、簡単に言えば育てたいハーブの好みを知るということです。
ハーブたちの好みの環境を知るには、やはり虎の巻を一册もっておくべきですし、ハーブに詳しい店員さんのいる園芸店と仲良くなっておくと、これもまたたいそう便利です。それでも困った時には本屋で立ち調べ、ネット検索などあのてこの手で頑張りましょう!

 

水やりは難しい  鉢を使いこなす  植物へ風の恵み  移植と株分け  ハーブの故郷

水やりはとても難しい

基本は「土の表面が乾いたらたっぷりと」「乾くまでは与えない。」

水やりは簡単なようでいて、とても難しい作業です。植物に応じて、季節に応じて、水やりの方法も変わってきます。植物を枯らす原因のほとんどは「可愛がり過ぎ」=「水のやり過ぎで根腐れをおこす」だそうです。上手な水やりで水分と酸素をたっぷり吸収させて、元気に育つお手伝いをしましょう。
ただし、陽が高い時間、土が熱い(またはすぐに熱くなりはじめる)時間帯の水やりは禁物です。植物が茹だってしまいます。

庭や花壇の水やり
活着するまでは必要ですが、しっかり根付けば極端な乾燥期以外は特に気にしなくて良いと思います。水分を好むタイプの場合、表面が乾きすぎているようだったら与えましょう。

鉢物の水やり
鉢で育てる場合、表面が乾いたと思っても土を掘ってみると、案外中はしっかりと濡れているものです。基本は「土の表面が乾いてしまたらたっぷりと」「乾くまでは与えない。」と覚えておきましょう。植物は葉からも水分を吸収するので、水をやる時は土にだけでなく植物全体にかけます。 ただし、水受け皿には水を溜めないようにします。植物も過保護に育てるとだんだんそれに甘えるようになり、いつもこまめにあげているものは少しの水切れで弱ったりします。日頃から厳しく、少々の水切れにも堪えるように育ててあげましょう。
室内においた鉢の場合は夜露などで葉がぬれることがなく、乾燥状態にってハダニやアブラムシが発生しやすくなります。葉裏にまで水をかけるようにすると、病害虫の防止にもなります。土が跳ねて植物に付くと病害虫の温床になるので、きれいに洗い落としてあげましょう。夏場は日陰でならいつでも、冬場には暖かい陽の午前中に、屋外やお風呂場などで葉裏までたっぷりと葉水*をかけてあげましょう。
乾燥を好むタイプは土の表面が乾いてから1〜2日置いて水をやります。

夏の水やり
早朝と夕方日陰になってから、一日二回が理想的ですが、長崎のわが家でも夕方にたっぷりやれば十分です。それでも萎れるようなものに限り底水*を張っておきます。室内に取り込む場合には冷房などで乾燥気味になるので葉水*が必要です。
乾燥を好むタイプは長雨の時期には雨の当らない軒下などに取り込み、やはり表面が乾いてから1〜2日置いて水をやりますが、むしろ葉水*に重点をおいて育てた方が安全です。

冬の水やり
冬はほとんどの植物が休眠期に入り、水分摂取量も減ってきます。鉢土の凍結の心配などもあるので水やりは控えめにして、温かい日の午前十時くらいまでに与えます。夜間に多湿にならないためにも、夕方の水やりや底水はしません。
室内に取り込んだ鉢物は暖房などで乾燥気味になるので注意が必要です。ストーブでしたらお湯を沸かし、エアコンの場合には鉢の近くにたっぷりと水を張ったバケツを置いておきます。また、直接熱風が当たらない場所を選ぶことも大事です。夜間には暖房が切れて気温も下がるので、水やりはやはり朝にします。温かい日には外で陽に当てたり、たっぷり葉水*をかけて葉を洗ってあげましょう。

突然弱っていたら
夏場、水やりはちゃんとしているのに元気だった株がぐったりしている……ということがたまにあります。これは葉っぱからの水分の蒸散に根からの水分吸収が追い付かない場合に起こることが多いようです。こういう時に慌てて水をやったりすると、逆効果で息絶えてしまうことが多いものです(経験者談)。慌てずに対処しましょう。
庭や花壇
まず日除けをします。夕方涼しくなって、土もしっかり冷えてきたら少しづつ、何回かに分けてたっぷりと水を与えます。夕方になると持ち返すことも多いです。
《鉢物
まず涼しい日陰に移します。鉢や土が充分に冷えてきたら、たっぷりと水を張ったバケツに鉢ごと30分から1時間浸けておきます。しばらくすると元気になります。鉢物は土が乾燥し過ぎると硬くしまり、水をやっても土のひび割れ部分から水が流れ出してしまうということがよくあります。特に夏場、たまにたっぷりと水を吸わせることも元気に育てるコツです。

*底水:鉢を深めの水受け皿に入れ、水受け皿にたっぷりと水を入れておくこと。毎日強めの水流で掻き回すと、蚊などの住処にならない。
*葉水:葉っぱに水をスプレーする方法で、葉の裏や全体にかかるようにスプレーする。

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植木鉢を使いこなそう!

植物には素焼きの鉢の方が通気性も良く、根から酸素をたくさん吸収できるので健康に育ち、病害虫にも強くなります。でも毎日の水やりは結構大変な作業ですし、忙しい時には気にはすれども手は出せずってこともあります。出回っている様々なプランターの特製を生かして、水やりの手間を省きましょう。長く続けるためにはちょっとした手抜きもまた必要なことだと思います。

乾燥を好むタイプ
素焼きの鉢や紙製の鉢などに植えることで過湿を防ぎ、根草れ防止にもなります。通気性が良く酸素を多く取り込むので植物の健康につながり、少々の水のやり過ぎにも堪えます。

水分を好むタイプ
プラスチック鉢や、素焼きの鉢でも上薬をかけた塗りものの鉢を使うと水分が長く保てます。通気性は劣りますが、保湿力が強いのでずいぶんと水やりの手間を省けます。ただし、通気性のよい用土を使いましょう。水切れをさせたくないものは、表面に水苔などを張って、表面からも土の乾燥を防ぎます。

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植物への風の恵み

風通しの良い場所で育てる
ヨーロッパ中緯度産や地中海沿岸産・南ヨーロッパ産のハーブは日本の高温多湿な気候がなにより苦手です。ですから苗を植えつける時点で育つ育たないが決まるといっても良い程です。
ハーブを庭に植える場合、一番大事なことは風通しのよい場所を選ぶことです。ハーブは風が大好きです。特に高温多湿や長雨を嫌うハーブは風通しの悪い場所では蒸れて枯れてしまいます。ハーブを枯らす原因の多くは水のやりすぎと蒸れだそうです。できるだけ風の通る場所でのびのびと育てて、美味しくいただきたいものです。

枝を切りすかす
さらに蒸れを防ぐために、梅雨前や夏の暑さに弱っている初秋に枝を切りすかしてやることが大切です。これは剪定と同じで、葉や枝が混み合っている部分を思いきり切り取り、どの葉にも風があたって蒸れないようにしてやります。陽差しもよく当たるようになるので、心配しなくてもより元気に伸び始めます。この時季はほとんどのハーブが美味しい頃ですから、収穫を兼ねてやりましょう。「もったいない」なんて思わずに、バシバシ切ってあげるのがハーブたちのためです。庭師さんたちの仕事を見てください。泣きたくなるほど思いっきりが良いですよぉ〜〜〜(;_;)

低く丈夫に育てる
私のハーブの庭はとても風通しのよい場所です。まれに植物をなぎ倒すような風が、時には何日も続けて吹きつけます。ときにハーブたちの「こんな風は嫌いだ!」という叫びが聞こえるような……。対策としては小苗の頃に新芽を摘んで、さらに大きくなってからまた摘んで、できるだけ低く頑丈に育てることにしています。この方法は、上にばかり伸びたがる植物を横にどっしりと張らせて強く育てるのに効果があります。

植え場所を考える
水を好むハーブは低い場所に、乾燥を好むハーブは高く植えます。ラベンダーで70cm以上必要だそうで、高ければ高い程よいということですが、見上げるようなハーブガーデンなんて洒落にもなりません。そういう場合、土をまんじゅう状に高く盛って、そのてっぺんに苗を植え付けます。長雨の時も雨が滑ってよそへ流れて、過湿になるのを妨げるという仕組みです。ほかより高くすることで通風もよくなります。ラベンダーやセージには特に過湿を嫌うので、注意が必要です。

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移植と株分け

移植
植物を元気に育てるために「移植」をします。この作業を園芸用語では「更新する」と言います。本などでもよく見かける言葉ですが、サイトをなかなか更新できない庭守RITZにとっては複雑な響きです(汗)。「更新」は多年草のハーブたちを長く元気に育てるためには必要な作業です。 多年草の植物は3〜4年に一度更新してあげましょう。移植の際に古い根や伸び過ぎたを根を切ることで、株に力が戻ります。ただし、根が切り詰められて小さくなったのに葉っぱがこれまでのままでは、根からの水分吸収と葉からの蒸散のバランが崩れてしまいます。根を切った分、葉茎もすっきりと剪定してあげましょう。
また、植物は土の中から必要な養分だけを吸うので、同じ場所にずっと植えておくと、土の中にはだんだんその植物に必要な養分が不足してきます。ですから、できれば違う科の植物が育っていた別の土に移す、あるいは堆肥や石灰肥料、腐葉土などを新しく入れてしっかり耕した場所に移植すると効果的です。鉢物ならば、必ず新しい土や土壌殺菌を済ませた土に移植します。

株分け
3〜4年もたつとハーブも大きく育っているので、大株になっていたらここで株分けをして株を増やすのもひとつの手です。

* 株分け、ハーブの増やし方の詳細は株を増やすコツ! へどうぞ

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ハーブたちの故郷

私たちと同じようにハーブにもそれぞれに生まれ故郷があり、生まれて育ったふるさとの気候や土質によって暑さや寒さを嫌ったり、長雨や乾燥を嫌ったりとそれぞれに好みがあります。残念ながら高温多湿、梅雨や秋雨といった日本の気候を好まないハーブは少なくはありませんが、原産地と実際に育てる場所の環境の差を考え、すこしでもそのハーブのふるさとのの環境に近付けてやることが栽培のポイントになります。とは言え、広い世界をあまりにも大雑把に分けた表なので、やはりそれぞれの育て方もチェックして下さいね。

* 注意の必要なハーブのチェックポイントについてはヘッドメニューから『ハーブ&お野菜』へどうぞ

ヨーロッパ中緯度産

夏は涼しいが湿度が高いこの地域。日本の湿気は問題なさそうですが、梅雨時のムシムシムンムン、ジメジメにはめっぽう弱いようです。寒さには強いです。

コモン(イングリッシュ)ラベンダー/クリーピングタイム/セルリー/ルバーブ/アンジェリカ/ホップ/スウィートシスリー/ロシアンタラゴン

地中海沿岸産
南ヨーロッパ産

冬は暖かく夏に乾燥する気候なので日本とはまるで逆です。乾燥には強いですが、とにかく日本の高温多湿は一番の問題です。

セージ/オリーブ/ラベンダー/ローズマリー/セイジ/タイム(立性)/カモミール/オレガノ/マジョラム/マロウ/サボリー/ヒソップ/フレンチタラゴン/レモンバーム/パセリ/コリアンダー/ベルガモット(モナルダ)オリス/サントリナ/ケーパー

東南アジア・中米産

年間を通じて雨が多い地域なので高温多湿には強いようですが、こちらは寒さに弱い。九州では無事に越冬しています。

バジル/レモングラス/パイナップルセージ/レモンバーベナ/ローゼル/ペチパー
東アジア日本産

ほぼ安心して育てられるハーブたちですね。

ローズ・ルゴサ/ガーリック/ネギ/ショウガ/ミツバ/シソなどいわゆる日本の香草

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