■効果
針槐の庭で欠かせない定番の防病虫剤はお酢! 穀物醸造酢は活力剤としてさらに優れた力を発揮して、葉っぱはつるつる艶やかになります。年中いつでも使えますし、特に植物が弱っている時に与えると効果的です。できれば穀物醸造酢は10日おきにかけるのが理想です。
カビを抑える殺菌効果もあるので、多くの病気にも効果的です。また、穀物エキスが植物に活力を与えるので、葉の細胞がめきめきと強く固くなり、病害虫にも強くなります。肥料を与えない夏場の散布は暑さに疲れた植物に効果的。冬場の散布で寒さにも強くなるので、越冬前の散布も効果が高いようです。
たまに水やりの水に混ぜたり、液肥に混ぜたりして与えてもいいですね。展着剤代わりの石鹸を入れなければ、益虫が逃げっ放しになる心配もありません。植物が酢の栄養分をたっぷり吸った後、夜露や翌日の水やりで流れてしまい、土に染み込んだ酢は土中の害虫を追い払い、根を太らせ、養分の吸収力を高めます。蝶や蛾、特に甲虫類はこの匂いを嫌って近寄らないそうです。これ、まさに百人力!!!
■材料
穀物の醸造酢に限り、合成酢ではこの効果はありません。酵素の力を借りてできた穀物エキスを持つ醸造酢ならではの防虫、活力効果です。米酢はとくに良いそうです。
■作り方
水で25〜50倍に薄めるだけ。50倍なら毎日使っても大丈夫です。簡単、便利、効果も高い薬です。酢農薬1Pに5gの石鹸を展着剤代わりに溶かしておくと効果が持続します。石鹸も虫の嫌う匂いや成分を持っているので、より効果的です。防虫・防病目的で使う場合には展着剤を混ぜて使いましょう。
■使い方
日没三時間前頃の散布が効果的。葉裏にもかかるようにたっぷりとスプレーします。霧雨がかかった程度が目安ですが、うどんこ秒にかかったものなどには茎や幹を伝って流れるようにたっぷり与えています。4、5日おきに4、5回かけていると害虫も近寄らなくなります。
■オマケ
自家採取の種子消毒に使えます。薄めないままの醸造酢に種を20分間つけ、陰干ししてから蒔くと、殺菌、防病になり、土中の虫の害も少なくてすみます。また、他のいろんな自然農薬に混ぜて使うという手もあります。活力剤の感覚で使いこなすと良いのでしょう。
《RITZの試用報告》
「お酢で健康!」というのは植物にも同じのようで、葉面散布した数日後に結果が見えます。葉がつやつやとして、緑が濃くなってきます。夏に弱い植物には特にお勧めです。やわらかい植物には50倍、ごっつい植物には25倍という感じで与えています(笑)。
うどんこ病になった銀木犀にかけたところ、数日できれいになりました。ドック・ローズにも4月から6月に定期的に散布していたら8月下旬までは元気で虫、病気知らず。ところが、気を許してサボった8月末に葉巻き虫発生!そろそろ秋の害虫君たちのお出ましです。/2000年夏
今年は暑さが一層厳しい夏です。鉢物の植物は全体に元気がなく、7月末から水やりの水に醸造酢を数滴垂らすようにしてみました。お〜っと、みるみる葉っぱがつやつやしてきました!/2001年夏
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草木灰を使いこなすには
■効果
草木灰散布には焼き畑と似たような効果があるようです。草木灰には吸収されやすい栄養分がたっぷりで、葉面散布すると葉の表面がアルカリ性になって、病原菌を寄せつけません。また、灰の匂いと粉気を嫌って蝶やウリバエなどが寄り付きません。露や雨、水やりで溶けると、石灰の代用とカリ分の補給になり、吸収率が高くリン酸も多く含まれています。
また、枯れかかった野菜や植物にも効果があります。モザイク病、立ち枯れ病、発病初期のエキ病、アブラムシの防除にも有効だそうです。草木灰は4〜5日おきにかけるのが理想です。
ただし、草木灰にはチッ素に触れるとガス化させ、チッ素を逃がす作用があるとのこと。堆肥と一緒に用いる時はすばやく土と混ぜるようにします。また、堆肥の上にかけたりしないようにします。二度手間になりますが、堆肥がよくなじんでから、改めて草木灰をすき込むといいですね。
■材料
雑草や枯れ葉、剪定後の木の枝。カシ、桜、クヌギ、ケヤキのように材質の堅い木よりも、杉、松、柿、竹、柳のような柔らかい木の方が手作りには良いそうです。また、ワラは焼いても効果がありません。
■作り方
低温で炎を立てず、低温でじっくりと時間をかけて煙でいぶすように焼くのがポイント。炭まじりの黒白灰をつくります。
まず30cm立方の穴を掘り、底にいくつか石を置き、金網などを置くと少しは燃えやすくなります。紙や干した草などの燃えやすいものに火をつけ、小枝から太い木と燃えにくいものを放り込みます。この繰り返しですが、炎が立ち上がったら草木を足して、できる限り炎を抑えるように焼きます。勢い良く燃え上がる炎で焼くと草木の養分まで焼けてしまって、栄養のない真っ白な灰だけになってしまいます。
穴の八分目ほどたまったら、少しづつそっと水をかけます。一気にかけると灰神楽が立って、鼻の穴まで真っ黒になりますので御用心(経験者談)。火がほぼ消えたところで土を10cm程度の厚みで戻し、雨水が入らないようにトタンなどで蓋をします。一晩寝かせて出来上がり!
ただし、かなり根気のいる作業なので気長に取り組んでください。穴の中には風が通りにくいので、すぐに消えたり、底の方に焼けてないままのものが残っていたりすることもあります。風の無い日には棒で底の方から持ち上げて団扇で風を送ったり、火が消えない程度にかき混ぜたりと、結構面倒ですが経験がなによりのようです。
■使い方
土を取り除いて灰を取り出し、目の細かいふるいにかけると、葉面散布用の草木灰が採れます。が、微風で飛んだり灰まみれになったりしたので、私は取り出した灰をそのままガーゼの袋などに入れてから撒いています。手で撒くとあっという間になくなるので、これは一石二鳥のやり方です。
草木灰は露に溶けて葉に浸透するので、他の自然農薬と違って露のある朝のうちにかけるのがポイント。風のある日は避けます。植物の15cmくらい上から葉全体にうっすらと撒きます。病害虫の季節の始めに5日置きに二、三回くらいかけると良いそうです。残ったものは根元に置いて根の肥料にしたり、鉢植え用土に混ぜ込みます。
追肥や防寒に使う場合はかぶせた土や周りの土と一緒に穴の中で混ぜます。焼き土と蒸し焼き灰と炭の混じった、土壌病害を防ぐ効果の高い肥料になります。また、灰の上に乗せた焼き土は熱で殺菌されていますので、大事にとっておけば床土などに使も使えます。
■オマケ
出来上がった灰に水をかける時、水に油かす液肥などを薄めてかけると、より肥料効果の高い草木灰になります。
■広い畑を開墾する前の応用編
広い畑を開墾する場合には、上記のやり方では時間がかかり過ぎて間に合いません。手っ取り早く、焼き畑に近い方法を取った方が早いですよ。私は取った雑草がたまる度にあっちで焼き、こっちで焼きと、焼き畑の小規模なものですが、上手に焼いて、カリ、リン酸の補給にしてます。これはそのまま土壌殺菌にもなります。
穴を掘らずに、畑にする予定地で焼きます。焼き方は上記と同じ、炎を高く上がらせないように、弱火でじっくり焼きます。このためには、乾いた雑草と抜いたばかりの雑草を用意しておくと便利です。炎が立ち上がってきたら、抜いたばかりの雑草を薄くかぶせます。もうもうと煙が立ちますが、煙が立つのは低温で燃えている証拠です。
焼く場所の除草をせずに焼けば、高温になるのを妨げてくれます。ただし、乾燥が続いている時期には、燃え広がらないように、焼く場所の周囲の草を抜いておきましょう。焼き終わったら、たっぷり水をかけます。あとは放っておくだけでホクホクの土になってきます。必要な時にはこの灰を花壇の花や野菜などに使ってもいいですね。、
*刈り取って干した芝草があれば、これを表面にかぶせると蒸し焼きが上手にできます。〈RITZの試用報告2:芝刈り後の芝草の活用〉を読んでみてください
《RITZの試用報告1》
花咲か爺さんの話は本物でした!枯れかかった野菜にかけてみたところ、嘘のように復活しました!ただし、酸性土を好む植物、例えばツツジや花菖蒲などにはかけない方がよいと思います。ツツジは草木灰を与えると成長が止まると言われています。私はすでにかけてしまいましたが……。
《RITZの試用報告2》:芝刈り後の芝草の活用〉/'99年9月5日
先日、芝刈り後の刈り取った山盛りの芝草を燃やしながら思い付き、実験した方法です。結果は良好!芝生のあるお宅では、是非やってみてください。時間はかかりますが、とても良い草木灰が出来上がります。
干した芝草は繊維が細くて密になっているため、燃えにくく、かつ火が消えにくいという特徴があります。ですから、芝草で草木灰を作る場合には、わざわざ土を掘る必要はありません。燃えやすい紙(プラスチックや色物印刷物は避けます)や落ち葉で十分に木の枝に火をまわした後、その上に薄くほぐしながら干した芝草をかぶせていきます。団扇で全体を軽く扇ぎながら芝草を燃やし、燃えた部分に次々と芝草を薄くかぶせます。この作業を延々と繰り返します。根気がいりますが、炎はたまにちろちろとしか立ち上がりませんし、じっくり蒸し焼きされたとても良い草木灰ができました。少し大きめの缶々などの利用も可能です。
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自然農薬の効果的な使い方
1、自然農薬は益虫を逃がしてから散布する
自然農薬や、やむなく殺虫剤を散布する前にはできるだけ穀物醸造酢50倍液(合成酢はダメです)を散布してください!益虫たちは酢の匂いでいち早く逃げ出し、匂いが消えるまでは寄ってきません。害虫たちは何故か懲りずにすぐに戻ってくるのだとか……。益虫を守るためにも、忘れないでください。
醸造酢を25〜50倍に薄めて、葉裏にもかかるようにたっぷりとスプレーします。6時間後から翌日までの間に殺虫農薬を散布します。
2、夕方に風下に向けて散布する
日中の散布は水分蒸発で薬剤が濃くなり、葉が火傷をすることなどあります。できればお天気が続く日を選ぶと効果的です。急ぐ時は雨の降らなかった日の夕方、日没の三時間くらい前の散布が理想的です。夜間に活動する病害虫の活動を抑え、薬剤が露に溶けてしみ込むので薬の効果が持続します。ただし、草木灰は朝露が残っている時間の散布が効果的です。
3、葉露は落とさないようにする
葉の露はミネラル分を多く含んだ、植物にとって大事な物質です。夜に必要以上の分を吐き出したり取り込んだりして、植物体をコントロールするためのものです。
4、薄めのものを回数多く、葉の裏まで散布する
自然農薬の効果は5〜7日程度。薄めの液を早めにかける方が効果的です。病害虫は葉の裏側に多く住み着くので、葉の裏にかけることが大事です。また、春夏に鍛えられた害虫たち、秋には益虫を上回る勢いで繁殖します。ですから、秋には春より多めに散布します。
5、下から上へ、地表にもたっぷりと
虫は逃げる時には上に向かわず、下に向かって逃げるそうです。ですから、下から上に向かって農薬を散布していく方が効果的です。植物には滴るくらいたっぷりと、そして落ちた虫も逃がさないように、石の陰などに隠れてもかかるくらい地表にもたっぷりとかけましょう。自然農薬は植物はもちろん土にもなんら害を与えません。
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自然農薬を作ってみよう!
はじめは面倒だと思っていたのですが、作ってみると案外簡単でした。市販の農薬にくらべると効果の持続期間が短いし、ちょっとした手間もかかり、撒く回数も増えます。でも、それで救われるちいさな命がたくさんあることを思えば頑張れます。それに、もぎたて採りたてをさっと水洗いして食べられるこの安心感には代えられません。ぜひ試してみてください。
これらの自然農薬使う前には「↑自然農薬の効果的な使い方」をよく読みましょう。害虫さんがいなくなってしまえば益虫さんたちも生きてはいけません。邪魔をしない程度に減ってくれるくらいで満足したいものですね。 |