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RITZの闘う猫車

登場する仲間たち


●11月13日(火) 曇 / ナウ・マイブーム
仕事がポッカリなくなって、10月中旬からの一ヶ月はお風呂場に始まり、台所、押入、収納家具の掃除から虫干し……と、大掃除三昧のうちに過ぎた。その間、みつけだした毛糸を眺めているうちに手作りのムシがむずむず、久しぶりに編み物にもハマってしまい、昼は大掃除、夜には編み物と完璧にネット離れの暮らし。これもたまにはいいものだ。
掃除を長続きさせるには通信販売のお掃除グッズが役に立った。かなりいろんな“自称スグレモノ商品”を買ってしまい、本当に役に立つモノもいくつかみつけたが、大半は家計費の無駄使いに終わった。菊の字のご帰還と共にサボり癖が復活。メインイベント(だったはず)の換気扇の掃除を残して熱が冷めた。。これは年末にとっておこう(^^;
編み物の方はファーブル軍団全員にとんがり帽子をプレゼント。残り毛糸で作った割にはかわいい帽子ができ、大喜びでそれぞれに自分の帽子をかぶり、庭を走り回る姿はまるで童話の小人さんたち。毛糸ボンボンの作り方を教えたら家中がボンボンだらけになってしまい、なんとなくクリスマス……。
他にもいくつか帽子を作り、GONZOや友人にもプレゼント。今はGONZOのベストを編んでいるのだが、いつの間にやらセーターに変わった。今、部屋の片隅にはほどかれる時を待っているセーターが積んである。


●11月14日(水) 晴 / ハチャメチャ体操教室
紅葉樹の少ないわが町、この時期にはおのずと「花より団子」になってしまう。牡蠣や蟹、それにホクホクのかぼちゃが美味しい旬を迎えた。今日は買い出しにでかけ、初物の赤なまこを発見!赤なまこはわが町の数少ない特産品のひとつ、これがまたやわらかくて美味しい!初物はいつも嬉しいもの。食卓のお皿には満開のつはぶきの花でも添えようか。
・・・と物思いなどに耽っていると子供たちの元気な声。「りっつさ〜ん、体操しよう〜!」
じつは針槐の庭ではちびっ子体操教室が始まっているのである。先生は誰あろうRITZ。。芝生の上で逆立ちを教えたのがきっかけになって、10月中旬から週に四日ほどのペースで続いている。この頃は室内で、ママさんも参加したりしている。
ところが、小学校低学年、幼稚園児、幼稚園前の子供たちをまとめるのは容易ではない。座れば乗ってくる、立てば飛びかかる、トレーナーがめくれると「オッパイ!」と駆け寄る子もいたりする。それでも、続けるうちに肩凝りがなくなり、身体がほぐれてきた。子供を乗せての柔軟運動一一これは死にそうなほど効く。子供を足に乗せての腹筋運動一一起きあがる度にキスのオマケが付いてくる。逆立ちの練習をさせれば顔を蹴られ、昨日は背筋運動中に口の中にハナクソを入れられたママもいて一一なんともハチャメチャなひとときである。


●11月19日(月) 晴 / 獅子座流星群のごろ寝観賞
季節は立冬の三候、暦の上では「水仙が咲き始める頃」。水仙にはまだ早いここ長崎の庭ではサフランが花開いた。そして夜明け前のまだ暗い空では、宝石箱をひっくり返したようなビロードの宙に彼岸花のように流星の花火が舞い散った。週末からの風邪にもめげずめいっぱいの厚着をして、芝生の上で寝袋にくるまって流星のシャワーを浴びながら、心が宙に向かって拡がり融けていく錯覚を楽しむ。
それにしても間一髪、危なく見逃すところだった。芝生の上にコタツを出して楽しもう!と目論んでいたのだが、午前二時半を過ぎてもいっこう雲が晴れず、一度は諦めてベッドに潜り込んで本など読んでいた。三時頃、妙に外が明るいような気がして見てみると、いつの間にやら雲はすっかりなくなって、窓からも大きな流星が飛び交うのが見えた。大慌て、大騒ぎでパジャマの上から服を着込み外に飛び出した。お隣さんも庭に出ていて、椅子だ寝袋だと駆けずり回った後も一時間、再び雲に覆われるまでたっぷりと大自然の素晴らしさを堪能できた。
「宇宙の大きさを想像すると、人間ってホントちっぽけだね〜」「宇宙がまばたきする間に人の一生は終わってるのかも……」「もぅちっぽけなことでクヨクヨしたりできないな」それぞれの独り言が連想ゲームのように連なり、締めくくりの言葉は「田舎に越してきて良かったねぇ」一一田舎の空は広かった。。


●11月29日(木) 土砂降り・稲妻・雷のち暴風豪雨 / 光のショー
季節は小雪(しょうせつ)二候。「北風が葉を払う頃」……確かに、今日は土砂降りに稲妻、雷と賑やかで、庭の針槐の葉もずいぶん落ちた。でも、雨の合間に庭に出てみると、風は妙に生暖かかった。
陽が落ちると、雨、風、雷がはげしくなった。ネットなんてやってる場合じゃない。また雷が落ちるからって?いえいえ、それよりも闇を切り裂き海に拡がる壮大な稲妻のショーを見なくては。。。

いやいや、すごかった。電気を消して、窓辺にはり付き眺める夜空では、分厚い雨雲の山並のような線を浮かび上がらせながら、縦横無尽に電気の刃が踊る。ときに真昼のように空いっぱいを照らし、ときにその高みからまっしぐらに海に向かう稲妻は、海にぶつかって海面に弾ける。眼の前のガラスが揺れ、家が揺れるほどの轟音の中、うっとりと空を見上げる夫婦二人。やがて,家の中にも揺らめく光が……?そこにはロウソクの逆光の中に浮かび上がる恐ろしげな義母の顔があった。
おやおや母上さま。停電ではありませぬ!・・・数年前に我が家を直撃した雷が忘れられず、電気をつけられない義母であった。


●12月2日(日) 雷雨 / 落葉
先日の暴風雨で庭の針槐はおおかたの葉を落とし、芝生に散り敷いた落ち葉かきの日課もじきになくなる。まだ緑を留めている芝生を掃き清めた頃、幼稚園や学校から帰ってきた子供達がやってくる。ある時は芝生の上でとんぼ返りや馬飛びの練習をしたり、ある時は焼き芋目当ての焚火をねだったりするが、今日は雷雨で庭も静か。やがて木枯らしの季節がやってくるのだろう。


●12月10日(月) 晴 / 二つの畑……!?
いつの間にやら編み物熱と掃除熱が醒めてしまい、このところ暖かい日には庭に出て、雑草とりに専念している。庭を覆った雑草の間からはラムズイヤー、ナスタチュームが早くも顔を出していた。散り積もった枝垂れ柳の枯葉を花壇に入れたり、集めた雑草で草木灰を作ってみたりと忙しく動き回ってはいるものの、これからの季節は庭仕事もなかなかはかどらない。春の足音と競争の庭仕事になりそうだ。
さて、寒い日や雨の日には……というと、このところネット上での“バーチャル農場”なるものにハマっている。キューリップややさがおなどという珍奇な植物を育てては売ったりして稼ぐゲームなのだが、いつか大儲けをして牧場で馬を飼おうと頑張っているところ。そんな私を見てGONZOは言う。「庭で本物を育てているのに、なんでこんなものが楽しいんだ?ネットの上でまで、なんでせっせと水やりしてるんだ?」・・・その答は・・・私にもわからないのであった。


●12月25日(火) 雨 / 成人式???
クリスマス・イヴの夜、我が家では長老グッチ婆さんがめでたく二十歳の誕生日を迎えた。若干浮き足立ち気味の家族を後目に、ご本にゃんは至って平常(当たり前!)である。でも、このくらいの歳になってくると長寿!長寿!と願ってばかりもいられない。片目失明、足腰の衰弱、他にもなにかとつらいことも増えてることだろう。この頃は「無理して長生きしなくてもいいんだからね」と妙な応援をするようになってきた。私の人生の中では誰よりも長く共に暮らしてきた相棒だ。最後の時まで、のんびり、ゆっくりとらくちんに過ごして欲しい。


●12月29日(土) 晴 /「すす払い 忘れたものが 顔を出す」
こんな川柳があるが、一年のうちにたまったメールの整理をしていると、新たな出会い、無沙汰の反省、いろんな出来事、大笑いしたことなど、一年分の思い出が言葉に乗って顔を出してきた。2001年は悲惨な事件や悲しい出来事ばかりが印象に残る新世紀の始まりだったが、だからこそ日々のちいさな喜びを忘れず、折々の充足感を織り重ねながら時を紡いでいきたいと思う年の瀬である。人はついついちいさな恵みを当たり前と思ってしまう生き物であるから、ちょっとしたことやものへの感謝を忘れないようにしたい。
さて、今夜はそんなささやかな感謝の気持ちを持ち寄って、ご近所の仲良しと今年最後の宴を開くことになった。パジャマで行き来できる距離、持ち合うおかずが冷めない距離、近くにこんな仲間を持てた幸せに浸りながら、さぁて、今夜もちょいと騒ぎますか!


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