針槐の木陰で

 

1997年の秋に庭に仲間入りした針槐は、鉢に棒を突き立てたような裸苗の貧相な姿でわが家に届き、将来がとても心配でした。春にようやく黄金色の新芽がたくさん顔を出し、私をホッとさせました。
このコーナーではわが家の針槐の成長ぶりと、針槐の木陰で起きる様々なことを記録していきたいと思います。 /'98年5月

針槐の木陰で(1998〜2003)


特徴と栽培方法

英名:False acasia 仏名:Acacia blanc
和名:ハリエンジュ、ニセアカシア
品種名:ロビニア・フリーシアと書いてありました
利用法:花はてんぷらにすると香りが良くて美味しい!

北アメリカ原産のマメ科ハリエンジュ属の落葉高木。アカシアとは別の種類です。適応力が強く、北海道から沖縄まで庭木、街路樹、生け垣として植栽されています。マメ科の針槐は根瘤菌との共生により根から窒素分を供給するので肥料木としても使われ、よく育つので痩せ地や砂地に植えられたり、砂防用として河原に植えられたりもします。
我が家の芝生はきっちり手入れをするのできれいな状態を保っていますが、針槐の根元周りの芝生はとくに緑が濃く、密生しています。針槐の根は地中の浅いところを広く這い回り、広い範囲の芝生を元気にします。そして、針槐のおかげで丈夫に育った芝生は、浅根性のために風で倒れやすい針槐をしっかりと地面に繋ぎ止めてくれます。こうした見事な共生関係を考えてみると、針槐は芝生の庭には最適な木ということになりますね。
でも、時折、根っこの先から新芽がにょきっと顔を出してきます。根の切れたところから次々に新芽を出して増えていくそうです。材は固いので土木用材、船舶材、薪炭材などに使われます。
芽生えの時期は黄金色に近い葉色で、とっても美しいものです。夏に向かって黄緑から緑へと色を変え、秋には赤茶色になります。花は藤によく似て、乳白色の蝶々型の小花が房になって垂れ下がって咲きます。ここ長崎では4月下旬から咲き始め、花期は短いのですが、美しく甘い香りは毎年の楽しみになっています。強風や台風で葉が落ちてしまった時など、秋にも花を咲かせることがあります。


栽培のポイント
かなり根を張るので庭植え向きです。土質は特に選びません。砂地や痩せ地でも栽培可能。ただし、植え場所は日当たりよく、できれば強い風の当らない場所を選びましょう。浅根性の針槐は風で倒れやすいばかりでなく、固い刺があるので風で葉が痛み、美しさが損なわれます。それでも、春から夏にかけての美しさを思えば、お薦めですけどね。それに回復力もスゴイです。
また、狭い花壇では根が張って、花を植えられなくなってしまいますのでご用心。我が家の庭では、広い芝生いっぱいに、庭の隅から隅まで根を張っています。何故わかるのか……と言えば、針槐は根っこの傷ついた部分から続々と新芽が顔を出すので、春から秋にかけては「ここにも、えっ、こんなとこにまで……」という状況。ハーブガーデンのオリーブの木は2本とも、針槐に根を持ち上げられて枯れてしまいました。
若木の成長はきわめて早く、ハーブの間からにょきりと顔出していることもしばしば。耕そうとすると根っこにぶつかり、そこから新芽が顔を出します。放っておけば針槐の林になってしまいますので、みつけ次第引っこ抜くようにしましょう(^^;
広い場所に植えれば数メートルの高さにまで成長しますが、普通の庭ではそれほど高くなることはないそうです。肥料は置肥程度で良いようです。灌水は普通に雨が降るようなら特に心配ありませんが、乾燥が続くような時にはたっぷりと与えます。病害虫の心配も特にありません。2年目以降の植え替えは10〜3月の間に、繁殖は接ぎ木、実生、分根、埋幹法が一般的です。

追記:「普通の庭ではそれほど高くなることはないそうです」と書きましたが、驚くべき生命力!我が家では3年目にして7m近くに育ちました。台風前にばっさり剪定して、ようやく6m弱になったところです。/27.Aug.2001

追記:家の屋根をはるかに越すほど成長して、6月の台風で倒れかけましたが、なんとか無事。台風前には剪定してあげた方が良さそうです。とほほ。/Jun.2003


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