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RITZの闘う猫車

登場する仲間たち


●2004年01月14日(水)/ライフワーク

昨日から月刊『田舎暮らしの本(宝島社)』の取材班が我が家に来ていて、夜には近隣の仲間が集まり取材班も巻き込む恒例の宴会となり、あれこれとわが町川棚自慢で盛り上がった。そして、朝寝坊の私がグズグズと起き上がる頃、早朝からメモを片手に見どころを撮影して回った取材班がやってきて、史跡を一緒に探索することになった。
佐世保にかつての大平洋戦争にまつわる史跡が多くあることは有名だが、佐世保の隣町である川棚にも特攻殉国の碑や魚雷艇特攻隊訓練場跡、魚雷発射試験場跡、官舎地跡などがある。私もつい先週のこと、この史跡が崩れかけ危険な状態になっていることから「撤去」の声も挙がっているという話を聞いたばかりで、漠然と「残さなくちゃ」という思いに駆られたばかりだった。
我が家から歩いても行ける場所にある『特攻殉国の碑』はよく手入れされた小さな広場の中央にぽつんと立っている。かつてはこの辺りに魚雷艇特攻隊訓練場があった。特攻隊と言えば“神風特攻隊”を思い浮かべるが、ここにあったのは海軍の魚雷艇特攻隊の訓練場で、人間一人と魚雷が乗るだけの小さなベニヤ製の艇に乗り、敵艦に体当たりをするという恐ろしい訓練が行われていたのだ。大きな石碑を間近につくづくと眺めてみると、裏側に至るまで人間魚雷となり命を落とした青年たちの名前がびっしりと刻まれていた。刻んだ名前に塗り込められた金色は褪せていたが、後から追記されたようにくっきり金色に輝いている名前がいくつかあった。花や供物がひっそりと供えられていた。
しばらくドライブしたところにある海沿いの『魚雷発射試験場跡』に着いた時には私はショックと感動に圧倒された。いくつかの建物が残っており、屋根が落ちたり壁が崩れているものの、その佇まいの素晴らしさに息を呑んだ。壁の内や外に繁った木々が形良く趣を添え、梢を飛び交う野鳥たちの羽音や澄んだ鳴き声があちこちから聞こえてきた。切り取られた窓から見える海や林は嵌め込まれた絵のようだった。海に浮かぶオブジェのような建物もあった。見捨てられたように60年を越える時を刻み続けてきた美しい廃虚が、無言のままになにかを語りかけてくるようだった。建物を繋ぐセメントで固められた道はあちこちで陥没して確かに危ない状態ではあったが、訪れるすべての人たちの想像力を掻き立てるにちがいない場所だった。
穏やかで静かな海の景色だけは当時からずっと変わってはいないだろう。徴兵されて、あるいは自ら志願して国のため、家族のために命を供出した数万という青年たちは、いったいどんな思いでこの同じ海を見つめていたことだろう?戦争反対をずっとアピールしつづけながら、戦争を「今」の時限でしか捉えていなかった浅慮に、私は今さらながら恥ずかしさを覚えた。戦争は、ずっとずっと続いてきたのだ。
魚雷艇を運んだレール跡と思われる窪みを辿って歩きながら私は、この場所を未来につなげる希望に満ちた場所にしなければと強く願った。当時は小さな漁村の町であったこの川棚で、数万人の若者が特攻隊として訓練していたという事実は、全国だけでなく長崎県民にもほとんど知られていない。“神風特攻隊”は有名だが、ここで訓練していた海軍の“魚雷艇特攻隊”(震洋・伏竜・回天)は私たち戦後世代にとっては無名に等しい。なんらかの形で未来の子供達に伝え続けることができれば……いや、伝えられる方法を模索してみよう。なんらかの糸口がみつかれば、これを私のライフワークとしてもいい。まずは歴史を知ることから始めてみようか……。
* 写真提供:Shinkawa Photo Gallery / 参考リンク:かわたな 知られざる特攻艇

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●2004年02月01日(日)/荒れ地でノコを奮う

かつてない寒気団が襲ってきたと思ったら、2月に入ってからは小春日和が続いている。体調もすっかり戻って、最近は荒れ地の草刈りに熱中している。
草といっても荒れ地を席巻しているのはカヤの類で、夏に浴びた潮さえも栄養にして、すくすく元気に育っている。図太く成長したものは私の身長を越すほどもあり、根元の直径は30cmを越す。新品の草刈り鋏もピカピカに研いだ鎌も歯が立たず、剪定用ノコギリの出番となる。
こんな時にはつくづく草刈り機が欲しくなる。女性用は軽くて使いやすそうだが、農家のプロに言わせると「こげなカヤば相手にしよったら、す〜ぐこっぱげようもん(壊れる)」とのこと。やむなし。ならば別の手を・・・近所の草刈り機持ちの誰が見ても手伝ってあげたくなるような刈り方をすればいいのだ!
丈高いカヤの草むらに潜り込んで、こんなあつかましいことを企てながらせっせせっせとノコを動かす。やがて「おった!ただいまー!」と声がかかる。幼稚園や学校から帰って来たファーブル君たちは、雑草の茂みに隠れた私を見つけるのがこの頃の楽しみになっているようだ。
陽が翳って寒くなると、刈り集めたカヤの山を焼く。カヤ類はあまり良い草木灰にはならないそうなので、盛大に焼く。メラメラと空に向かって立ち上がる炎に日頃の憂さまで放り込み・・・やがて、RITZの薫製が出来上がる。
幼い頃、おばぁちゃんちで過ごした夏休み。畑から帰ってきたおじさんやおばさんや従兄弟のお兄ちゃんから漂っていたのと同じ匂い。「あぁ、草を燃やしていたのか」……数十年を経てみつけた小さな謎の答にほくそ笑む私の周りを、かつての私のように子供達が走り回る。
時は巡る。歳を重ねることに抵抗するよりも、歳を経てこそ新たにみつかる楽しみを享受していくのも上手な生き方かもしれない……などと思う。さぁて、ご褒美のビールも待ってるぞ。


●2004年02月21日(土)/大胆!野焼き成功!(画像は野焼き直前)

誰かが草刈り機で刈ってくれるかも・・・という目論見は見事にはずれたが、年末からボチボチと頑張ってきた成果が目に見えて見晴しもぐっと良くなった。海が一段と近くなったような気がする。雑草に埋もれていた花菖蒲の芽がひょっこりと顔を出し、急な日当たりに慌てたのか、紫陽花の新芽が開いてちらほらと葉っぱが見えている。遅ればせながら刈り込んだレモングラスからも初々しい葉が伸び始めている。こらこら、気が早いぞ!
ちょっと手をかけてやれば、植物たちはちゃんと反応してくれる。日々手をかけ、心を砕いている菊の字もこのくらい反応してくれればなぁ……いつの間にやら愚痴も顔を出す。いけない、いけないと、今日も草取りに励むが、キリがない。
ふっと不埒な考えが頭を過る。どうせ燃やすなら、野焼きにすれば良いじゃん!!!
ファーブル・ママに相談してみると乗ってきて、「風もないし、やりますか!」「やろう!やろう!」と子供達。日暮れ頃、燃え移らないように周囲の草を刈り、刈った草を生えたままの部分に集めよせて、燃やさない場所にホースで水をかけ、ついに火をつけた!ときにメラメラ、ときにちょろちょろ・・・部分野焼き成功!
真っ暗になるまでキャンプファイア気分を楽しんで、最後に水を撒き、鼻の穴まで真っ黒になって解散。次回はバナナ・レスキュー野焼きをすることも決まった。頑張るぞ。


●2004年02月24日(火)/申告と掃除の因果関係

申告と掃除・・・私にとっては切っても切れない因果関係にある。すでに何十年も続くこの因果に、今年も囚われている私。進歩がないんだよなぁ(ため息)。嫌なことを先送りしたいという願望は根深い。。。
山になった請求書や領収書を整理しようと思うと、机の上の散らかり具合が気になってくる。机の上がきれいになると、引き出しの中や書類ケースの中、マックの汚れやキーボードに入り込んだホコリ屑などが突然気になってたまらなくなる。ほぼ一年の間、気にもせずに使っているし、机の上もいつも書類満載状態なのに?
気がつくと手紙の整理をしていたり、ずっと以前にしまい込んだハーブの資料を読み耽っていたりする。いけない、いけない。。。
机周りが片付くと、今度は窓ガラスの曇りが気になってくる。電気の傘や壁の染み、床の汚れ、あらま、電球が切れている、テラスに枯葉が散らばってる・・・と、だんだん仕事場から遠ざかってしまうのだ。
かと言って、決して家事仕事が好きなわけじゃない。この時期に限って家政婦気分が盛り上がりを見せるのが不思議なところだ。掃除機を動かすだけの掃除は退屈だし、ガラス磨きや台所磨きもよほど汚れないとやらない。なのに何故?どうしてこんなに掃除がしたいの???
・・・などと一人でぼやきつつ、今日は一日机周りを掃除した。庭や陽射しが見えないようにブラインドを下ろしたままで。結構よくやったと自分では思っている。ご褒美は・・・やっぱりビールだな。


●2004年02月25日(水)/暖かさにムズムズ

洗濯日和、お布団干し日和、そしてもちろん庭仕事日和。暖かいと身体がムズムズしてしまい、お昼の後片付けも放り出して庭に出た。さて、今日はどこをやろう?
本格的な春になるまでに、やっておきたい仕事が山盛り待っている。
ハッ、確定申告も……( ̄□ ̄;;
いやいや、こんな日和に部屋に篭ってなどいられるものか、勿体ない!
去年たっぷり目土を入れて養生した芝生はゴキゲンの様子で全体がうっすらと緑がかってきた。あちこちに入り込んだ雑草も元気に育っているのが悔しい。ざっと除草をした後、庭から道路にはみ出し、伸びに伸びた芝をバリカンで刈り込む。
そうだ、もらったままの球根も植えなくちゃ。
あらら、すずめの子育て用の竹竿が割れて落ちちゃってる。。
おっと、新しい竹が伸びてきてる。。。
夕暮れ、ちっともはかどらなかった成果にため息をつく。
あまりに暖かすぎて、取り乱してしまった(^^;


●2004年03月04日(木)/久々にシェフ気分

陽射しがあれば暖かいが、冷たい北風が舞い戻ってきた。しばらくは気温の低い日が続くということなので、ここで一気に帳簿仕事をやっつけよう!と、ついにその気になった2日、楽しい友人たちが訪ねてきた。しかも夫婦それぞれの友人が一人づつで、計二人。う〜む、これは困った・・・とにまにま(^^;
これは「楽しむべし」ということなのだろうと素直に受け止めて、帳簿仕事はさらに先延ばしになった。
夕方、 キッチンに立ち、有り合わせの材料で腕を奮った。
・アスパラ菜のカシュナッツ&手造りマヨネーズソース和え
・チンゲン菜のとろとろ煮
・チビじゃが芋の丸揚げとワカサギのフライ
・砂ずりの辛味噌炒めにはイタリアンパセリを山盛り添えて
・仕上げはイリコご飯の芥子高菜添え(初メニューだが大成功!)
独身男性がやってくるとなると、メニューはいきなり野菜三昧になる。お姉ちゃんとしては野菜をたんと食わしてやらねば!
土産話と土産の球磨焼酎(その名も「武者返し」43度!)で盛り上がり、返り打ちに遭った武者RITZはベッドで微笑みながら寝言を言っていたという。。。
RITZと共に魚雷発射試験場に惚れ込んでしまったカメラマン氏と未来の夢を語り合い、ラッキーにも素敵な写真をいただいたので記念に貼付けておこう。(1月の日記にもさすが♪の写真を追加)
一念発起で農夫に転身するというIT関係者の友人も、翌日の野焼き三昧を堪能して帰った。
さぁて、いよいよ確定申告の準備に取りかかるぞ!という今日は、頂き物の写真を整理しているうちにあっという間に暮れてしまった。う〜む、明日こそは!!!・・・明日の天気予報は晴れとのこと。。。不安(⊆_⊇)


●2004年03月15日(月)/逃げていく身体

きらめく陽射しがおいで、おいでと誘うから、ブラインドをすっかり下ろして誘惑をはねつけているのに、こっそり忍び込んだ春風がカタコトと窓を叩く。顔を上げると、ブラインドのすぐ向こうにちょこまかと尾を振るおタキさんのシルエット。
だめだ、集中できない。コーヒーでも飲もうと台所へ・・・
あらま、カウンターが汚れている。ゴミ箱が満杯だ。そうだ、そろそろ燃えないゴミの回収日だったな・・・おっと、倉庫の掃除をしていたぞ。いけない、いけないと仕事場に戻る。
今度はヒヨドリたちが水浴びにやってきた。「ちょっとだけよ♪」とそーっとブラインドを上げる。あらら、部屋の隅に枯葉が舞い込んでる。あそこにも、あっちにも。うへっ、綿埃君もいる・・・「こら〜、逃亡するな〜」とのGONZOの声に我にかえると、またしても仕事場から遠ざかりつつあった。 しおしおと机に戻る。こんな調子で幾日を無駄にしたことだろう?
ようやく集中しはじめた頃、窓の外から声がかかる。開けてみると近所のおばぁちゃん。手には元気いっぱいにピンピン伸びたレタスの苗。「今年は育ち過ぎたから早く植えた方がいいよ」と誘惑のダメ押し。窓辺では通販で買ったマートル(銀梅花)といただきものの西洋アザミ、アーティチョークの苗が庭へのデビューの時を今か今かと待っている。「私は今、いったいなにをすべきなのぉぉぉ」と悩んでいると「帳簿だ!」とGONZOからクールな鉄槌が下った。。。
こんなに誘惑が多い環境の中で、彼はよくも平然と仕事がこなせるものだと感心する。一方私は、無意識下で逃げていく身体を引き止めるだけで精一杯。でも、これも数年ぶりに五体満足な春を迎えられた証なのかもしれない。
終盤は雨と寒気がさまざまな誘惑と来客を遮断してくれたおかげで集中すること約5日、ようやく悪夢の確定申告を終えた土曜日は朝から庭へ飛び出した。無心に鍬を奮い、アーティチョークの花壇とレタスの畑を作った。西洋アザミを植え付け、こぼれ種から勝手に育っていた野バラを隣の垣根に巻き付けた(^m^)
庭仕事にはあっという間に集中できるRITZであった。。。


すずめっ子クラブでの活動が忙しくなり、日記を書き続けることができなくなってきました。
今後は時間のある時にちょこちょことエッセイという形で書いていこうと思います。
続きはRITZのエッセイ集でお楽しみください
長い間日記を読んでくださったみなさん、ありがとう!


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