海と空と針槐 > ご近所瓦版 > ミステリー“鳥” | ||
この物語はフィクションではない!
某月某日、クリスマスも近い大阪のとあるビルを密かに抜け出す黒い影があった。人目をはばかるように急ぎ足で大通りを走り抜けていく怪しげな影の、ひときわ目立つ色白の手に握られているのは……デジカメ。いつになく引き締まったその横顔には、大胆にも不適な笑みさえ浮かべていた。 黒い影。お気楽な会社員を装ったその正体は、「針槐追っかけ隊」という謎の組織に属す人物・・・暗号名「もんた」。自らをもんた特派員と名乗る、やっぱり謎の人物であった。はたして今回の謎の行動は?ひたすらに空を見上げるその視線の先にはいったい何が……? 足早に先を急いでいたもんた特派員の足がふと止まった。 視線は相変わらずひたと空を見すえている。その視線を追っていくと…………
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おぉ〜〜〜〜〜!そこには驚くべき光景が拡がっていた。見渡す限り、鳥、鳥、鳥・・・。 |
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許される時間はもうない。公園の大きな木の根元に辿り着くと、もんた特派員は息をつく暇もなく再びシャッターを押しはじめた。 |
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「やった!できるだけのことはやった!じ〜〜〜ん……」 もんた特派員は満足げに呟いた。自分に科せられた任務・・・かつてない程のムクドリの大群の写真は撮り終えた。が、無理な体勢で、しかも周囲を気にかけながらの撮影だったもので、写真の中でビルが傾いていることを、この時、もんた特派員は知る由もなかった。 日も暮れた頃、机の電話が鳴る。もんた特派員の顔に緊張が走る。 |
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「妙な噂」・・・ヤマアラシのように自分に突き刺さる社内の視線を思い出し、もんた特派員はぶるっと身震いをした。 |
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つづく…かも(^0^)