美しき廃虚
トロッコの溝を辿りながら、ちょっと重い気分で魚雷収蔵施設跡へと向かった。屋根は落ちてしまっているが頑丈そうな建物。廃虚という言葉がぴったりはまる建物だ。
建物に隣接してプールのように深く大きな凹みがあった。そこにびっしりと魚雷が並んだ光景がふと頭に浮かび、再度ゾッとした。次の瞬間、プールを覆うように繁った木々の間から一斉に鳥たちの鳴き声が響いてきた。ヒヨドリ、スズメ、あれはシジュウカラ?いろんな野鳥たちが木々を飛び交い、その声がここは安全だよと告げていた。
魚雷収蔵施設跡を覗き込むと、青い空の下になんだか不思議な空間が広がっていた。戦争とは程遠い感覚が、じわじわと私の中に広がってきた。なんて美しい場所!!!
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