さかな指南 |
こんちまた、ご機嫌よう!一睡庵亭主でございます。本日のお題は、毎度お馴染み「さかな指南」。しばらくの間お付き合いを願います。 CSとは何ぞや・・・横丁のご隠居によりますと“かすたまあ・さてすはくしょん”とか何とかを、端折った言い方だそうで。“かすたまあ”はお得意さん、“さてすはくしょん”てのは客がクシャミをするってんじゃなくて満足することだそうで。まあ平たく言えば商売人がお客さんにどんだけ喜んでもらえるかっていう、あきんどの心得で御座いますね。 「ヨッそこのおばさん、魚の死骸はいらないかい?」これじゃおばさん連中の袋叩きにあっちゃって、魚屋の死骸ができちまう。そこでCSの出番となるわけで、「ヨッそこの!」ここまでの気合いは宜しい。その後が肝心で、「そこのお嬢さん、活きの良いシシャモが入ってるよ!北海道は十勝川産で今が旬、脂がのってあぶって食ったら最高にうまい。ホラ、肌の艶もお嬢さんと負けず劣らずピッカピカ!柳の葉っぱと書いてシシャモと読む。スラッとしている柳腰。お嬢さん、シシャモ食べたら共食いだぁ!」ここまで一気にまくし立てる。件のおばさん、シシャモと自分がオーバーラップしちゃって、「やだよう、この人ったら無理言っちゃって。そうね四、五匹頂こうかしら」ハイ、これがCS効果の第1弾。 シシャモという商品の連呼に終わらず、その素性・特性・食べ方から国語のお勉強までさせています。ここんとこが肝心ですな。ま、専門家の言うところの“商品及びその周辺情報”による相乗効果と言ったところでしょうか。 さて、おばさんの気分は上々。気分がいいから料理にも腕によりをかける。旦那のお銚子も何時もより一本多くなる。子供はおかわり。家庭円満・・・と。シシャモ五匹で世界の平和も夢じゃないってわけですな。これがCS効果の第2弾。 しかし、CSてのはここで終りじゃありませんよ。すっかり魚屋ファンになった奥さんは、魚屋のための歩く広報ウーマンと変身してしまう。その生まれついての話術とバイタリティで、ご近所の奥さん連中を巻き込み“ピッカピカ”の魚屋さんに、大挙して押しかけることになる。こうしてこの魚屋さんは、地域社会からの理解と信頼を得、商品の普及と促進、及び企業イメージの向上を実現したわけです。 「ヨッそこのお嬢さん、活きの良いCSはいかが!」お後が宜しいようで。 |