粗忽のしいあい |
こんちまたまた、ご機嫌よう!一睡庵でございます。本日のお題は「粗忽のしいあい」。しばらくの間お耳を拝借いたします。
「おや八ッつあんかい?熊さんもおそろいで。まぁお上がり」「ご隠居、ちょっと見てやってくださいよ、この熊の格好!」「ちわぁ、ご隠居。かーぺんたーずるっくってやつでして。なかなかでやんしょ?」「何がやんしょだ!そんなへんちくりんな仕事着飯食えると思ってんのか」「まあまあ二人とも、落ち着いて。熊さんの話も聞こうじゃないか」 「へえ、近ごろ大工の仕事がめっきり減りやして、暇つぶしに長屋のドブ板の修理なんかやってる始末で。そこで思い切っての大決心。親の代からの◯に熊の字の印半纏、すぱーっと脱ぎ捨てこの格好ぉ、こんな長屋に見切りをつけて、末はライトか安藤かとくらぁ」 「熊公、てめぇまだそんなこと!」 「およしよ八ッつあん、こりゃ熊さんのコーポレイト・アイデンティティだよ」「あいてててぇ?熊公、とんかちで指でも打っちゃったか」 「よっくお聞きよ。企業の持つ特性を内部的に再認識・再構築し、外部にその特性を明確に打ちだし、認識させること。これが世に言うコーポレイト・アイデンティティ、略してCI」 「解んねえ」「あたいも」 「そこですよ熊さん!千里の道も一歩から。CIの一歩もそこから始まる。熊さんの得意技とか町内で腕競ってる大工が何人いるかとかのおさらいした上で、自分がどんな大工になりたいのかっていう目標、つまるところだどんな服に着替えるかを、棟梁やオカミさんと内輪でじっくり話合う。これが内部的な再認識・再構築ってことになるわけだ」 「ああ、あたしゃだんだん腹が立ってきた。着替えるってのは例えって言ってるだろっ!仕事を広げたかったら、おまえんちのおしゃべりなカミさんに大工仕事の勧誘をやってもらったり!ハイカラな大工が目標だったら、おまえんちの不良息子が言ってたように英語の名前を看板にしたり!」 お後が宜しいようで・・・ |